成年後見のメリット

成年後見制度は、判断能力が落ちて自分一人の力では通常の生活が困難になったときに役立つ制度です。多くのメリットがある反面、デメリットとなることもあります。ここでは成年後見のメリット・デメリットを解説いたしますので、ご自身の場合に当てはめて考えてみましょう。
成年後見
成年後見人が本人の代理人になれます
本人に代わって成年後見人が預貯金の入出金をしたり、不動産の売却などをすることができます。

本人がした不利な契約を取り消すことができます

訪問販売で高額な商品を買ってしまったり、不利な契約をしてしまった場合などに、本人に代わって成年後見人が契約を取り消すことができます。

家庭裁判所が本人の生活を見守ります

家庭裁判所は本人の財産の状況や生活の状況を、後見人から定期的に報告として受けとり、改善点があれば後見人に対して指導してくれます。
第三者によって、本人の財産を使い込まれる心配がなくなります。

本人や家族の信頼できる人を、成年後見人として選任することができます。

本人や家族が信頼できる人を後見人の候補者として立てることで、家庭裁判所にその人を後見人として専任してもらうことができます。
ただし、あくまで候補者ですので、最終的な決定は家庭裁判所の判断となります。場合によっては、司法書士や弁護士が後見人となることもあります。

成年後見の注意点

財産処分の自由度が減ります。

成年後見の大原則は本人の権利擁護ですので、本人にとって利益のない出費はできません。
例えば、孫への多額の入学祝い金や、投資などの資産運用もできません。
また、相続税対策も基本的にはできないと思ったほうがよいでしょう。

家庭裁判所が関与します。

これはメリットでもありますが、人によってはデメリットに感じる場合もあります。
たとえば、本人の財産をきちんと管理し、なおかつ、毎年毎年裁判所にその報告書を出さなければなりません。これは成年後見人がたとえ身内であったとしても同じです。

成年後見人には報酬を支払う必要があります。

成年後見人への報酬は本人の財産から支払われることになります。
報酬はおおよそ年間20万円〜50万円程度ですが、その費用が余計にかかってしまうことになります。

職業の制限があります。

本人が会社の役員や医師・各種士業などの一定の職務に就いている場合、その業務を行うことができなくなります。

後見人の業務が不適切な場合、民事上、刑事上の罰を受けることがあります。

本人の財産を本人のため以外のことに使い込んだりすると、後見人などを解任され、さらには民事上の責任をおったり、刑事上の罪による罰則を受けたりすることになります。

後見人は、なりたい人がなれるわけではありません。

後見の申立ての際には、後見人等の候補者をあげておくことができますが、最終的に後見人を選ぶのは家庭裁判所です。
家庭裁判所は、本人の財産管理や契約行為をするのに一番適した人を選任しますので、候補者でない方が後見人に選ばれることもあります。

家庭裁判所の許可なく成年後見人をやめることはできません。

成年後見人が辞任するには、家庭裁判所の許可が必要になります。勝手に成年後見人をやめることはできません。
また、本人の判断能力が回復しない限り、一旦利用を開始した成年後見制度を途中でやめることは基本的にできません。

後見人は後見事務を行う必要があります。

後見人になると、就任1ヶ月以内に本人の財産目録を作成し、裁判所へ提出する必要があります。 また、一年に一度、家庭裁判所に報告書を作成して提出する必要があります。